【書評】「ドリルを売るには穴を売れ」：顧客が本当に求める価値にフォーカスするマーケティングのヒント から記事をおこしてみました。ご参考に。
はじめに
「ドリルを売るには穴を売れ」という有名なフレーズを聞いたことはありますか？
一見、「ドリルを売る」ことと「穴を売る」ことは別物のようにも思えますが、実はこの言葉には、マーケティングや営業活動において非常に重要なポイントが凝縮されています。
製品としての「ドリル」を買いたい人はいない。しかし「家の壁に穴をあけたい」「DIYで棚を取り付けたい」という目的――つまり“穴”が必要な人がいる。製品そのものではなく、「顧客が実現したい価値」に注目すべきだという主張です。
今回は、このコンセプトをより深く理解し、初心者でもすぐに実践できるヒントがまとめられている書籍「ドリルを売るには穴を売れ」（以下、本書）を読んでみた感想や学びを紹介します。
1. 「顧客の求める価値」を理解するとは？
本書のテーマをひと言で表すと、「お客様が本当に求めている価値を見極め、その価値を提供する方法を学ぶ」こと。これは言うなれば、商品・サービスの“本質”を見抜く力を養う、ということです。たとえば車の購入動機一つとっても、「家族旅行に出かけたいから」「安全で快適な通勤がしたいから」「デザインがかっこいい車に乗りたいから」など人によってさまざまです。そこで大切なのは、顧客が何を求めているのかを理解して、それを実現する解決策を“価値”として提案していくことになります。
1-1. ドリルと穴の関係
- ドリルは手段（ツール）
- 穴は顧客が本当に欲しい目的（成果）
このシンプルな構図を、あらゆる商品やサービスにも応用して考えてみることで、商品が持っている「本来の価値」を再発見できるようになると本書は説いています。
2. 初心者でもわかりやすい理由
本書が魅力的なのは、マーケティングの専門用語やフレームワークがわからなくても、“なるほど”と思える具体例が多く紹介されている点です。理論だけでなくケーススタディや身近な事例が豊富に載っているので、マーケティング初心者でもすんなり理解できます。
- 豊富な事例
有名企業のマーケティング戦略から、街の小さなお店まで、規模を問わず使えるヒントが散りばめられています。 - やってみたくなる具体的な提案
「顧客目線に立つ」ために必要な準備や質問例が豊富なので、本を読んだその日から仕事や自分のビジネスで活かすことができます。
3. 本書から得られる具体的な学び
- 商品・サービスは“手段”にすぎない
ドリルだけでなく、私たちが日々提供している商品やサービスは、実は“目的”ではないという認識を改めて持つこと。顧客が最終的に実現したい世界が何であるかを把握する視点が大切です。 - 顧客の目的を深掘りする質問を用意する
「この商品を使って、どんな課題を解決したいですか？」「理想の未来像はどんな状態ですか？」といった質問リストをつくり、顧客の目的や価値観にしっかり耳を傾けることの重要性が具体的に紹介されています。 - 競合との差別化ポイントを“価値”で示す
機能や価格競争だけでなく、「この商品ならではの価値」を明示できるかどうかが、購入の決め手になります。本書では、価格以外の“バリュー”を打ち出す考え方が紹介されています。 - マーケティングだけでなく、コミュニケーション全般に使えるヒント
「穴を売る」考え方は、ビジネスシーンだけでなく、プレゼンや企画提案などあらゆるコミュニケーションにも応用できます。相手が求めているものが何かを丁寧に探る姿勢は、どんな場面でも有効です。
4. ここが面白い！個人的注目ポイント
- 顧客はプロセスよりも結果を欲している
ドリルが高性能だろうと、結局は「きれいに穴があくか」が大切。マニュアルやスペックの多さより、「成果のわかりやすさ」が求められるという事例が印象的でした。 - “価値”は顧客ごとに異なる
たとえばスマートフォン一つとっても、「最新の機能を使いたい」という人もいれば、「できるだけ費用を抑えたい」という人もいます。顧客が本当に欲しいのは誰でも同じ“穴”とは限らない、という目線がとても新鮮でした。
5. まとめ
本書は、「ドリルを売るには穴を売れ」というシンプルかつ本質的なマーケティングの考え方を、具体的な事例やわかりやすいストーリーで説いてくれます。マーケティング初心者でもすぐに理解しやすいだけでなく、日常業務で「顧客が求める価値」を意識する第一歩としてぴったりの一冊です。
「ドリルを売るには穴を売れ」という考え方は、私たちが提供している商品やサービスだけでなく、プレゼン・企画・コミュニケーションなど、あらゆる場面で活かせるのが魅力です。自分が提供しようとしているものの“本当の価値”を常に問い続ける――そんな習慣づくりに最適な参考書としてオススメしたい内容でした。
もし「どうすれば商品やサービスの魅力をもっと伝えられるのか？」と悩んでいるなら、本書から得られるインサイトは大いに役立つはずです。ぜひ手に取ってみてください。
この記事でご紹介した書籍
- タイトル：「ドリルを売るには穴を売れ」
- 内容：マーケティング初心者でもわかりやすい、顧客の本当のニーズや価値にフォーカスする考え方と実践法
- ポイント：シンプルかつ汎用性の高い「価値志向」のマーケティングアプローチが学べる
皆さんも、ご自身のビジネスや日常のちょっとした場面で、「ドリル」ではなく「穴」に目を向けてみてはいかがでしょうか？
読んだその日から実践できる具体的ヒントを得られる、オススメの一冊です。